
森雄介、高橋朋隆、肥田緒里恵
「 2012 バンドゲーム トライアルシリーズ 第1戦 」
組み合わせ
今年も昨年に引き続き、若手キャロムビリヤードの登竜門、バンドトライアル第1戦が4月14日(土)に幡ヶ谷倶楽部において開催された。
今回の出場者は計16名と過去のシリーズと比較して最多人数となった。試合方式は40点4名4組のリーグ戦で各組上位2名が8名の決勝シングルトーナメントに進出し、ベスト4のそれぞれの敗者同士が3位決定戦に回る。前年度は米山聡が「 どんな球でも外さない 」と思わせるような凄みのある球で見事、初のMVPを獲得している。同じく昨年の最終戦では特別参加選手の町田正が優勝したが、なんと相手は森陽一郎の子息、18才の森雄介とファイナルを演じている。
「 田島啓介、バンドトライアルシリーズを勇退 」
昨年、バンドトライアル常勝組の田島啓介が昨年度の「 全日本プロバンド選手権 」のファイナルで強豪、森陽一郎を破り、見事初優勝した。 それにより今回からは田島啓介はバンドトライアルを勇退されて、2005年より続いているこのシリーズ始まって以来、初の卒業プレイヤーとなった。尚、田島啓介は今後、バンドトライアルにおいては最終戦のみ特別参加選手として迎えられる。
「 豪華な顔ぶれ 」
今回のメンバーは、世界レディース3Cチャンプの肥田緒里恵、全日本アーティスティックチャンプの渡辺元、全日本レディース四ッ球チャンプの久保谷由紀子、バンドトライアル初挑戦の新しい
顔ぶれとしては、プロになって間もない 林奈美子、清田篤史。 最近になり、特に上達めざましい
最年少の森雄介、殆どが若手とはいえ、そうそうたるメンバーで豪華かつ、多彩な顔ぶれとなっている。
「 予選リーグ、安定した上位陣 」
予選リーグでは1組で肥田が好調、肥田 vs 米山 のカードは好ゲームになり、リードしていた米山を肥田が逆転して先行で上がり、裏撞きで米山が難球を次々にこなし、見事に9点を取り切って引き分けに持ち込んだ。 なかなか下位陣が今回は付け込むチャンスが見出せなかったようだ。
2組では、熊沢崇、渡辺が安定した強さを見せ、共に2勝1分けで決勝トーナメントに進出した。同組の阪本容一はやや練習不足が現れていたのか、持ち前の集中力も今回は息を潜めていた。初参加の女子プロ、林奈美子は堅実に当てて少しづつ調子を上げたい所だったが、ハイランになかなか繋がらずもう一息。次回に期待したい。
「 森ジュニア、大暴れ! 」
3組では、最近では天才の呼び声が高い最年少のサラブレッド、森雄介が大暴れ。まず緒戦を
24点ハイランで取り切り、続く清田も一蹴、まるでゴルフで言えば石川遼? あるいは昔で言えば“ビリヤード界の赤胴鈴之助”のようだ。予選ラストゲームで高橋朋隆に惜敗したものの、アベレージ僅差で同組の1着で決勝に進出した。初挑戦の清田プロは最終ゲームで17点を取り切って上がったが、やっとエンジンが掛かって来た時に終わってしまった感があった、次回にはもう少しこのゲームに慣れてくれば上位に行ける可能性がありそうだ。
4組は大混戦、第1ゲームで阿部明が内藤克宏に圧勝し、2連勝に成功。また、内藤はその後復調を見せ、9キューのハイアベレージで2連勝。 途中で苦戦していた田中潤は、田中 vs 阿部 のラストゲームで阿部の球の内容が荒くなったか、当たりが止まって田中の勝利になり、終わってみればアベレージが逆転、内藤のアベレージが上回り同組の1着、田中が2着となり、阿部が次点となってしまった。 今後の阿部のテーマは勝ち負けよりもバンドのプレイ内容の指向性に重きを置いて、その技術性を改めて見直せば、結果的にプレイヤーとしての未来が明るくなるのかもしれない。
「 森雄介、驚異の初キューハイラン30点! 」
決勝トーナメントに入り、ベスト8の 肥田 vs 田中の対戦は、伸び悩む田中を尻目に安定した試合運びで肥田プロが勝利した。
今年の11月、東京の霞ヶ関ビルの特設会場で開催される「 世界レディース3C選手権大会 」にシードプレイヤーとして出場が控えている肥田緒里恵は、正確で安定したストロークが身上ではあるが、最近になり力加減の良さ、バンドにおけるマッセの技術にも一段の進歩が見られる。
一方、高橋 vs 熊沢 の対戦はレベルの高い接戦となり、ハイラン18点を出して食い下がる熊沢に対し、最近プレイのリズムの目立って良くなった高橋が熊沢をゲーム際で退けた。
渡辺 vs 内藤 の対戦は、渡辺の柔かいストロークが冴え、内藤を10キューで下した。
森 vs 米山の対戦は、米山が初キューを取ったが外したすぐ裏で、森ジュニアがクードロンばりの速いリズムで次々と得点を重ね、初キューで撞き切ってしまうのではないか、という勢いで、あっという間にハイラン30点に達したがカラクッションを外し、惜しくもここでストップ。出てきた米山がチャンス球でうっかりしたように見えたかのような、まさかのミス。 結局、4キューのハイスコアで森選手があっさりと上がり、昨年度MVPの米山プロを相手に堂々と年間賞にも届きそうなハイラン・ベストゲームを叩き出した。まるで“牛若丸と弁慶”のようであったが、普通は50分位は掛かる筈のこのゲームを開始から僅か15分ほどでフィニッシュ、森の先球返しの絶妙な力加減、特にマッセの技術は目覚ましい進歩を遂げ、その感覚は明らかに群を抜いている。 まさに天才少年の本領発揮である。
「 手に汗を握る展開 」
準決勝に入り、肥田 vs 高橋 の対戦は高橋が粘りのあるプレイで今回好調の肥田プロを12キューで下した。
森 vs 渡辺 の対戦は絶好調の森選手に対し渡辺が迎撃し展開がもつれ、ゲーム際で渡辺が間違いなく勝利かと思いきや、まさかのワンモアを外す。 森もここでプレッシャーが掛かったのかチャンスが掴めない。ところが続いて渡辺がまたもや外し、最後に辛くも森が11キューで上がり、昨年の最終戦に続き連続でのファイナル進出となった。 見ている方も手に汗を握るようなスリル満点のゲームであった。
「 渡辺、ワンモア病? 」
3位決定戦では 肥田 vs 渡辺の対戦で、渡辺が16点のランを出したものの、先程の森戦のダメージが残っているのか集中力が今ひとつで、ゲーム際でワンモアをまたしても外してしまい、肥田が16キュー目でかろうじて勝利を収めた。 渡辺にとってはゲーム際の甘さが今後の課題になってしまった。
「 高橋、先輩の意地 」
いよいよ優勝決定戦は 高橋 vs 森 の対決になり、ゲームは混沌とした出だしとなったが、やはり、その前の渡辺との対戦で森選手に痺れが残ってしまったか、今度はなかなかチャンスが掴めず、当りが出ない。 高橋は目立ったハイランは出ないものの着実にポイントを重ねリードを保っている。高橋が途中で難しい形ではあったがフリーハンドマッセをミスし、森に絶好のチャンスが
巡って来たが、ここでもランに繋がらない。 森は思い切りが良いのだが、それがここでは決まらず、結果的にポジティブなプレイを保った高橋朋隆が第1戦の優勝を飾り、先輩の意地を見せた形で
プロの面目を保った。
2012バンドトライアル第1戦成績表
「 天才少年、森ジュニアの将来の期待 」
しかし、それにしても今回は森雄介のパフォーマンスは強烈に観客を魅了した場面が多数あった。森雄介は今年の中盤からスペインに渡り、バルセロナでスリークッションのスーパープレイヤー、ダニエル・サンチェス選手の元で1か月ほど修行の旅に出る予定だ。益々今後の期待が掛かるが、まさに彼は日本のキャロムビリヤード界の未来を明るくするスーパープレイヤーになるイメージを予感させてくれる、文字通り素質充分なプレイヤーに育ってきたのである。
今後も森雄介は注目され、話題は更に膨らんで行くであろう。
「 ユーストリームで多数のアクセス 」
今回はインターネット動画サイト“ユーストリーム”にてバンドトライアルのライブ中継があったが、多数のアクセスがあり、最終的に延べ視聴者数が810名を超えるという思いがけない数字になった。 おそらく、まだゲームの内容が広く知られていないバンドゲームに興味のある部分で、試聴した人が多かったのではないかと推測される。 今回を切っ掛けにバンドのプレイヤー人口が増えて行く可能性が高まったのではないかと思われるが、ここまで来れたのも色々な協力者のお陰でもあり、そしてなんと言っても寛大なるスポンサーの存在が大きい。
今年は協会の公式試合でも、「 第1回 アマチュアバンドゲーム選手権大会 」が地区選手権、全日本選手権でも開催されることになった。そして7月にはベトナムにおいて、「 第2回 バンドゲーム アジア選手権大会 」がスリークッションの試合と共催されるという情報が入って来ている。 いよいよキャロムビリヤード総合技術の競技、バンドゲームに明るいスポットライトが当る日がやってきた感がある。
次回、「 2012バンドゲームトライアル第2戦 」は7月28日(土)に、高田馬場ビッグボックスにて開催の予定。要項は下記の通り。
年4回開催。 年間ポイントランキング方式で上位5位までがシリーズ入賞。
参加資格/ プロ・アマチュア49才以下、(女性は年齢制限無し)
公式オープンバンド選手権・プロバンド選手権の優勝者を除く。
3C・四ッ球・カードルのいずれかが2段以上。
ポケットはSAクラス以上、ポケットプロも出場可。 要CSカード。
特別参加/ シリーズ最終戦にて全日本オープンバンド・プロバンド選手権の優勝者が参加。( 特別参加者はランキング枠外 )
エントリーフィー/ 3,500円(テーブル使用料込み)
賞 典 / 入賞は毎大会5位まで、シリーズランキング賞5位まで、三賞あり。
服 装 / ドレスコードA(正装)
主 催 / バンドゲーム推進委員会
申し込み・問い合わせ / ビリヤード アレナ TEL. 03-3948-1331

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