2006年06月26日

9ボールフェスティバル解説


ルディ!

 今回は専門誌に記事を書きませんので、まとめを書いておきます''^_^ つーか、某老舗誌は取材にすら来ていない……。大会のエントリー総数は167名。ランキングシードの高橋邦彦(MEZZ)、川端聡(ADAM)の2人を除く167名で24日に予選がおこなわれ、決勝日25日はベスト32から9先勝者シングル。ちなみに会場は埼玉は籠原にあるバディーズプール。私が取材に行った一昨年より設置台数が減っていたために、8試合ずつ計6回転の進行になりました。10時試合開始で終了予定は20時。私は「終わるわけない」と思いましたけどね''^_^ 組み合わせは決勝日朝に完全抽選。なかなか良い感じにメンバーが割れたと思います。


試合実況チーム''^_^

 ベスト32戦で瞬殺を決めたのは大井直幸(FLANNEL)と川端。大井はアマチュアを相手に50分のスコンク勝ち。川端は3年前の今大会覇者、内垣建一を2点に封じました。逆に時間がかかったのは利川章雲 vs 渡部純と星勝志(MEZZ) vs 玉登新也アマの2試合。共に2時間半前後かかるタフゲーム。特にTVテーブルだった利川 vs 渡部は編集しまくりになるでしょう(汗)どちらもヒルヒルになりましたが渡辺、星がそれぞれ辛勝。特に星は玉登の最終ラック9番ミス穴前残りに助けられるというドラマがありました。しかし、勝者2人も疲労困憊だったのでしょう。続くベスト16で渡部は大井に瞬殺。星も高橋に押し切られて姿を消しました。これ以外では奥村健が浦岡隆志に6−8から逆転勝ち。北海道オープン決勝再戦となった草野寿 vs 早瀬優治は草野が9−6。試合後、草野は「全然玉が入らん……」と嘆くことしきり。早瀬は予選で草野を破って勝ち上がっていただけに無念。


絶対入れたる!

 ベスト16戦、フィリピンのルディ・モルタと対戦した田中雅明(KEITHANDY)は序盤、0−3から8番入れラッチで0−4という最悪の展開。だがここからなんとか息を吹き返して8−7と逆転リーチ。しかし追いつかれてヒルヒルとなり、最終ラックはもつれる展開。田中、セーフティ戦から3番をとばしてしまう。イージーな残り玉で万事休す……4番がコーナーへ!田中、ラッキーに助けられて勝ち上がりました''^_^ 先月の東北オープン覇者、山本久司(MEZZ)はフィリピンのクレセンシオ・バリトンを相手に8−5リーチ。しかしここからのバリトンが秀逸。第14、15ラックで山本に続けて4回ジャンプを撞かせた揚げ句にヒルヒル。最終ラックのセーフティ戦では逆に1番をジャンプで沈めて逆転勝ち。山本のジャンプはいずれも狙えるものではありませんでした。ここはとにかくバリトンが素晴らしかった!


準決勝:川端 vs 大井!

 ベスト8は好メンバーが揃いました。特に元世界チャンプ同士(高橋 vs 奥村)、ランキング上位同士(川端 vs 田中)はなかなか見られないファン垂涎のカード。TVテーブルの高橋 vs 奥村は第1ラックこそ高橋が取ったものの、ここから奥村が主導権を握って2−9と完勝。川端 vs 田中は田中の7−3から、川端が2連マス2回で逆転勝ち!これには田中も諦めるしかないか。残りの2試合、大井 vs バリトンは大井が中盤から走って9−5。場内実況によると、大井は「フィリピン大好き」らしい''^_^ もう一試合、草野 vs 栗林達(MEZZ)は草野が8−4リーチで9番ミス!栗林は7つまで返しましたが及ばず。


準決勝:奥村 vs 草野

 準決勝に進んだ4人は非常に興味深いメンバー。先月のEnjoyPool.com 9-Ballでは9位タイと孤軍奮闘、日本が誇るハードブレイカー川端は、売り出し中の超新星、これでオープン戦3戦連続ベスト4となる大井とブレイク対決!試合は中盤まで一進一退。しかし大井がマスワリで4−2とした第7ラックから3ラック、川端のミスに大井が付き合う展開が続き、川端4−5と逆転。ここから川端一気の4連マス!特に最後の第13ラックの取り出し3球には感嘆!この試合はTVテーブルだったので、ここは是非チェックして欲しいですね''^_^ 敗れた大井はこれで、ジャパンオープン以外のオープン戦4戦すべてでベスト8以上に残るハイアベレージ。年末のランキングも楽しみですが、あと一歩まで来ている初優勝に向けて、更なる勝負強さを身につけて欲しいものです。


ヒルヒル!

 準決勝もう一試合、元世界チャンプ、昨年の全日本選手権チャンプ、そして先日のIPTノースアメリカンオープン日本予選を勝ち抜いた奥村は、今年オープン戦2勝の草野と対戦。奥村 vs 草野と言えば、昨年全日本選手権準決勝、IPTノースアメリカンオープン敗者最終を共にヒルヒル。どちらも奥村が勝利しましたが、草野もリベンジに燃えています。序盤一気に奥村が5−0。これは勝負あったかと思いきや、ここから草野が巻き返して5−5。そこから奥村が8−5リーチまで持っていくも、奥村ブレイク4個インの取り出しをミスって8−6。セーフティ戦から勝負あったと思われたところでイージー8番を抜いて8−7。草野のジャンプがラッキーインして8−8!最終ラック、草野ブレイクイン!ロング取り出し2番決めた!草野マスワリ配置の8番出しミス。草野89コンビミスも隠れた。奥村カーブで入れたが残り玉は難しいバンク配置。奥村サイドバンクは顎に蹴られた。ロングの残り玉。草野決めた!うーん、ミスター、幾度も訪れたチャンスを決めきれなかった……。この最終ラックは映像に撮ってあります。今週中にアップしますのでお楽しみに''^_^ ちなみにこの試合、川端 vs 大井戦より50分も長い試合になりました(溜息)


決勝!

 決勝、川端 vs 草野。川端の3つのミスが1−9という大差を生みました。一つ目は第1ラック、プッシュアウトミス(ジャンプを誘ったものの手玉を寄せすぎ、パスされて自身がジャンプファール)。二つ目は1点返した第6ラック、取り出しで引ききれずにサイドスクラッチ。三つ目は草野が取り出しをとばした第8ラックでの5番サイドミス。これに草野のマスワリ5発が加われば、この大差もうなずけるというもの。本来、G2の決勝戦という大舞台を考えれば、川端がその経験を生かして草野を封じなければいけないところ。ベスト8&準決勝の内容が良かっただけに、まったく逆の展開にしてしまったのは川端としてもさぞ悔しかっただろう。
 ところで、決勝がおこなわれたテーブルはオルハウゼン。そして準決勝、奥村 vs 草野のテーブルはポケットの狭い(といっても台湾ほどではないが))ブランズウィックだった。バディーズプールには他にもオルハウゼンがあったのだが、実は草野、決勝がこの日初オルハウゼン。川端は同じテーブルで準決勝を撞いていただけに、少々草野不利というのが戦前の私の予想だった。決勝後、草野にこのことを聞いてみると、「準決勝のテーブルが渋くてやりにくかったのに比べて、決勝テーブルは穴でっか(笑) コンディション云々よりもそれで気分良く撞けました」とのこと。勝負事は何が幸いし、何が災いするかわからないものだ……。


決勝後の優勝インタビュー

 さて、今年のランキング争いもこれでようやく形が見えてきた。これで草野はG2(9フェス)、G3(北海道)を1勝ずつ。続くのがG2(関西)を勝った田中、、今回準優勝、ジャパンオープン3位タイの川端、そして前述の大井といったところだろう。残るランキング対象試合は7月中国(G3)、9月14−1(G2)、9月東海(G2)、10月北陸(G2)、11月全日本選手権(G1)。昨年同時期は関西、JO、9フェスの三つがフィリピンファイナルだったことを考えると、今年のランキング争いは面白い。このまま上位陣が頑張れば、全日本選手権まで熾烈な戦いが続くことになるだろう。当然のことだが、国内の試合は日本人が頑張ってこそ面白いもの。今回のように新鋭とベテランが激突するような形になるのは最も望ましい形の一つだと私は思う。日本人プロ、頑張れ!


おめでとう草野!でも次は俺が勝つ''^_^

 そして最後に一つだけ苦言を。今更ながらではあるのだが、やはり国内の試合は時間がかかりすぎる。9先の9ボールで2時間を超えるというのは、海外の試合に見慣れた私からすれば「異常」としか思えない。 展開、コンディション等、様々な理由はあるだろうが、こういう試合が普通におこなわれている環境にあっては、やはり海外では勝てないのではないか?意識の上で、プレイヤー一人一人が「リズム良く撞く」ことを心がけることが、全体の底上げに繋がるのではないだろうか?何でもかんでもショットクロックというのは考えものだが、いかにも遅くなりそうな試合の時は、運営ももっと積極的に動いていくべきだと思う。10時開始22時終了だったこの日。同じ6回転でも、1回転平均1時間半前後で進行していけば19時には終われたのだから……。ちなみに8先交互のマスターズは6回転を8時間で回していた。条件が違うので、単純比較は無意味だけどね''^_^  とは言え、今大会が遅い試合ばかりだったわけではありません。「世界レベル」と思える試合もいくつもありました。そのいくつかはTVテーブルですから、ビリヤードウェーブの放送をお楽しみに。そして、どういうプレーが世界に通用するのか、世界選手権やマスターズ等と見比べて、プレイヤーにもファンにも考えて貰えればと思います。

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posted by mathilda at 14:23| 新潟 ☁| 国内プロ公式戦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする