2010年08月03日

Guinness World Series:進化する才能

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大井直幸(Flannel)

 ビリヤードの選手を競馬の差し馬に例えるのはおかしいかもしれないが、今回の大井を例えるのには最適な表現だと思う。今大会、試合が終盤に入り勝負所にさしかかってくるあたりから明らかに大井の集中力が高まっていくのが観戦していて感じられたのだ。勝者最終 vs リッキー・ヤン、ベスト32 vs 柯乗逸、共に上がりのラックをマスワリで締めた大井の集中力は、彼ら国際オープン優勝経験者をすら確実に上回っていた。
 眠れる才能が、遂に開花したのかもしれない。

 アマチュア時代に台湾でおこなわれた9ボール世界選手権ステージ1を通過してみせ、JPBA入り初年度に年間ランキング1位奪取という離れ業を演じて見せた大井。だが結果として、これまで安定した成績を残して来たとは言えない。ビリヤードファンにとっては、今年3月のジャパンオープンで先にリーチをかけながらエフレンに惜敗した試合がすぐに思い浮かぶことだろう。勢いに乗れば5連マスも出すが、まだ世界のトップレベル相手には勝負の詰めが甘い、そんな印象が残っているのではないだろうか。だがそんな大井は既に過去のものだ。
 大井にとってギネスは因縁大会でもある。07年、アジアツアーがギネスツアーにリニューアルされた初年度の全5戦に参戦しながら、結果的に一度もシングルベスト8に残ることが出来なかったのだ。この年、筆者はこの5戦すべてに同行した。第1戦からそれぞれ、趙豐邦、呂輝展、L・V・コルテッザ、楊清順、ロニー・アルカノとグループラウンドで対戦し、一度として彼らの壁を破ることが出来なかった。第3戦の前にはワールドプールマスターズにも招待されたが、やはり初戦でオリバー・オートマンの前に涙を呑んでいる。この年のギネスツアーは、全5戦のポイント上位10名が秋のグランドファイナルに出場出来るフォーマットだった。全戦参加の大井はもちろん有利で、一回でもベスト8に進んでいれば、おそらくグランドファイナルの舞台に立てたはずだった。大井も筆者も、5回あればどこかで上に行けると安易に考えていた。だが、現実は甘くなかった。
 どうしてあの年、勝つことが出来なかったのか?今なら理由は誰にでもわかる。まだまだ、実力が足りなかったのだ。もちろん、技術&経験不足の認識が我々になかったわけではない。だがビリヤードなのだから、一回ぐらいラッキーがあるだろうとも、我々は思っていたのだ……。
 そしてあれから3年。大井は確実に技術を磨き、経験を積んだ。

 ベスト8 vs ジュンダル・メゾンの詳細については川端聡(Adam)ブログを読んでいただきたい。大井をここまで強くした最大の立役者自らの解説は本当に胸を打つ。一つだけ付け加えるなら、0-5ビハインドの第6ラック、メゾンのノーインから大井が取り切った瞬間、明らかに試合の流れが変わったことを強調したい。大井の口から飛び出した“Yes!”という気合の一言で、それまで終了ムードだった会場の雰囲気が、「大井、頑張れ!」に劇的に変化したのだ。何かが起きる、そんな予感がギャラリーの心を捉え、それはラックを追うごとに形になっていった。たった一言でギャラリーを味方につける離れ業。こんな芸当が出来るのはこれまでビリヤード界にはあの男、アレックス・パグラヤン(Mezz)しかいなかったのだ。それからの大井の大反撃はまさにディープインパクトのような鋭さで、応援している我々の興奮はどんどん高まっていった。ああ、本当にこの試合を日本のファンに観て欲しかった!結果的には首差及ばなかったものの、あの試合の主役は明らかに大井だった。結果は残念だったが、そんな大井をしても差しきれないほどこの大会のメゾンはバチバチだったのだから、これはもうしょうがない。

 大井にはビリヤード以外に、もう一つ天性の才能がある。それは海外での圧倒的なコミュニケーション能力だ。大井の英語力は決して高いとは言えないが、言葉の壁などお構いなしに、大井は誰とでも友達になることが出来る。スーケー、イモネン、パグラヤン、柯乗逸、誰でもいい、海外のトッププレイヤー達に聞いてみれば間違いなく同じ言葉が返ってくる。“Oi is my friend!” 
 海外での大井を見ていると、英語が出来る出来ないなんて、実にちっぽけな問題なのだと思い知らされる。本当に大切なのは語学力などではなく、相手の懐に一歩踏み出す勇気なのだと。筆者自身、知り合って以来、14も年下の大井からどれだけ多くのことを学ばされたことか。

 今年の秋は色々と楽しみが増えた。共に一皮抜けたライバル同士が、今度はタッグを組んで挑む9月のWorld Cup of Pool。前にも書いたと思うが、主催者であるマッチルームスポーツに名指しで招待されたということは、世界のトッププレイヤーとして認められた証と言って間違いないのだ。大井&栗林ペアの前に最初の難関(ベスト16)として立ちはだかるのは、おそらく台湾の柯乗逸&張榮麟。日台若手対抗戦をはじめとした多くの舞台で戦ってきた4人の激突。日台の未来を占うこの勝負だけは見逃せない。そして国内ランキング終盤戦、彼ら若き日本人トッププレイヤー達の前には、常勝羅立文が立ちはだかる。北陸OP、東海9GP、そして全日本選手権。どこかで必ず注目の一戦が実現するはずだ。筆者は今から、その時が楽しみでならないのだ。

Guinness World Series of Pool / 2010年7月:

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大会日程
2010年7月:






posted by mathilda at 12:15| 新潟 🌁| 海外試合 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする