
例えばテニスや大相撲だったら、ほとんどの優勝をランキング上位や横綱が持って行く。波乱が起きないことはないが、そんな時は大ニュースだ。でも、ゴルフやビリヤードは上位陣が群雄割拠状態で、もちろんそれがゲームの面白さでもあるのだが、無名の新人が一気にチャンピオンになってしまうことも頻繁に起き、同じ人間がタイトルを独占することはまずない。だからこそ、タイガー・ウッズは凄いのだ。
昨晩のミカは明らかに痺れていた。壊れそうになる自分を必死に押さえている姿は痛々しくも感じた。だが同時に、これまで積み重ねてきた大舞台での貴重な経験が彼をしっかりと支えていることも見て取れた。決勝戦、ここを勝つと負けるとでは、天と地ほどの開きがあることを、彼は骨身にしみてわかっていた。01年USオープン決勝でのまさかのスコンク負け。全日本選手権での4度に渡る準優勝。勝たなければ意味がない。相手のコルテッザが巧いのはよくわかっている。彼がゾーンに入ってしまい、大観衆がそれを後押ししたら、06年WPC決勝のスーケーのように、プライドをずたずたにされる悲惨な負けが待っているのだ。
終盤8-5リードでのブレイクスクラッチ。悲劇の予感がミカの脳裏を走ったかもしれない。これをきっちり取り切られて8-6。しかし、大舞台経験がさほどないコルテッザは、明らかにミカ以上に痺れていた。05年WPC決勝の呉珈慶、そして先日の瀋陽女子9ボール世界選手権決勝での劉莎莎(Kamui)、10代の彼らはこの瞬間、ここぞという勝負所でゾーンに入ることが出来た。しかし30歳を過ぎ、なんとなく自分の居場所が見えてきたであろうコルテッザにはそれが出来なかった。逆転へのスタートになり得たブレイクショット、手玉はサイドポケットに消えて行った。そして、言葉にするとあまりにも簡単になってしまうのだが、イモネンは取り切り、マスワリ連発で、8年ぶりの世界タイトルを手中に収めたのだった。
今年の獲得賞金は23万ドルを越え、カタールオープン以外の高額賞金トーナメントにほとんど勝ったと言っても過言ではないミカ。次の目標はモスコーニカップでの3連覇だ。
強い奴がきっちり勝つって、なんて気持ちがいいんだろう。
マニラ男子10ボール世界選手権'09

今回、ミカは前モデルのバットにDI-PROを付けてブレイクキューにしていました。クリックで拡大写真。

プロジェクターが暗すぎて誰も見ない……。

トーナメント表。クリックで拡大写真。

運営、段取り良すぎです(笑)

決勝風景
大会日程
2009年11月: